福井市にある問屋に足繁く通う郷さんは、福井県南西部に広がる日本海側の漁港から新鮮な魚を仕入れる。この地域の海底の豊かな地形や海流により、地元の魚介類は新鮮で美味しいと言われる。最近は底引き網漁や定置網漁業が主流で、多様な魚介類が漁場からすぐに市場に届けられる。地元の料理人たちは、地元産の魚介類や野菜を活かした料理を提供し、郷さんもその一人。彼は福井の食材の可能性を見出し、地元の食文化に貢献している。
敦賀市と接する福井県南西部には、日本海側では珍しい河口海岸が広がっています。 若狭湾は入り江の複雑な地形に加え、海底には玄田瀬などの自然礁があり、海流が複雑です。 海底からの冷たくて栄養豊富な水が、温かい地表水と混ざります。
一方、堺市の北西部には、山から豊富な栄養を運んで海に注ぐ大河、九頭竜川が流れています。 これらの自然環境は植物プランクトンの繁殖を促進し、魚介類にとって良好な環境を作り出しています。 越前沖で獲れる魚介類が美味しいと言われるのはそのためです。
小さなボートでの釣りもシェフを喜ばせます。
福井県の漁業は、近年、小型船による底引き網漁や定置網漁業が主流となっています。 小型で機動性の高いボートは、さまざまな種類の魚を捕獲し、漁場からすぐに港に戻ることができます。 多種多様な新鮮な魚介類がすぐに下流の卸売市場や卸売市場に運ばれます。
福井市ですし店を営む郷北斗さん(42)も、越前の海の幸に魅せられた料理人の一人。
「新鮮な魚が届くのが早いです。魚の種類が豊富で偏りがないので、今日は何を作ろうかと楽しみです。多すぎて頭が痛くなります(笑)」。
最近、河口の海岸では近代的な養殖が行われています。 天然魚から養殖魚まで、シェフの厳しい審査を通過した魚がたくさんあります。
福井をこよなく愛し、地元産の魚介類や野菜を使用。 鮨処 海月(福井市)
前述のゴーさんは、静岡県浜松市出身。 妻の故郷の影響で福井市に住み始め、自身の店「くらげ」をオープンして11年目になる。
「最初は大阪で修業しました。福井に来てからは、地元の若手料理人が尊敬する居酒屋で働きました。そこで日本酒と地元の魚介料理を学び、福井の食材の可能性に気づいたと言えます」そのときの経験が今の寿司屋にも生きていて、地元の人よりも福井愛が強いと思います(笑)。
呉さんは魚介類に加え、地元産の野菜も使っているという。 太平洋側で生まれ育った彼は、日本海側とは異なる気候や風土を持つ福井の食材の魅力に惹かれたのでしょう。
食材の組み合わせを考えてみましょう。
「私たちは魚の熟成に力を入れています。魚の個性を引き出すだけでなく、それをさらに引き立てたい。それが私たちのやりたいことです。メバルやシラスなど、おいしい魚がたくさんあります。それと甘エビ。」 剛さん)
店内はカウンター9席のみで、基本はおまかせコース。 にぎりの間に酒と肴が交互に提供されます。 ある日、南越前市で獲れたマグロと、菜の花にちなんだ伝統的な地元野菜「直け」を使って手巻き寿司を作りました。 小野市の里芋をふきのとう刺身やポテトサラダに使用しています。 あわら市の北潟湖で獲れた白身魚を小肝とともにおつまみに。 地元の食材を最大限に活かしています。
東洋と西洋の技術を融合し最高の魚介類を創り出す。
「春には桜色のエビや甘金、赤金が。最近、福井ではサバの水揚げが増えています。まだ脂が落ちていない春サバは上品な味わいです。サバも美味しいですよ」(剛さん)
郷さんは大阪と福井の両方で寿司の腕を磨いた。 伝統的な押し寿司も大阪で作られていました。 すっきりとした江戸前にぎりを中心に、適度に創作的な押し寿司も提供しています。 サバの漬け物と漬け物を調味料で練り込んだ押し寿司の生地は、おまかせ料理の主役とも言える印象です。
東京などで食べられる江戸前寿司とは異なり、関西に近い福井ならではのお寿司が楽しめます。
海月寿司レストラン
福井市フエ1-10-2
電話番号:0776・22・7776
営業時間:17:00~23:00
定休日:日曜日、祝日(その他臨時休業あり、要相談)
料金:14,300円、9席。
交通:JR福井駅より徒歩約10分
基本コースはおまかせです。 後日ご来店予定の場合はご相談ください。
取材・文:愛野裕之 写真:藤田修平
※この記事は『サライ』2024年4月号より転載しています。