雪舟は「画聖」と称され、幼少期に京都で禅僧として修行しながら画を学びました。大内氏の庇護を受け、中国で3年間画法を学んだ後、周防を拠点に創作活動を行いました。雪舟の作品は高い評価を受け、桃山時代や江戸時代の画家たちに影響を与えてきました。京都国立博物館での特別展では、雪舟とその後継者たちの作品が展示され、近世の雪舟受容の様相を紹介します。展示会は2024年4月13日から5月26日まで開催されます。
雪舟と称される「画聖」は、岡山県総社市(旧備中国赤浜)で生まれました。幼少期に京都の臨済宗相国寺に入り、禅僧として修行しながら室町幕府の御用絵師である周文から絵画を学びました。
後に山口県の周防に移り、大内氏の支援を受けて明国で3年間過ごし、中国の画法を学びました。帰国後、周防を拠点に旅をしながら創作活動を続けました。
宝福寺には、寺で叱られた雪舟が涙でネズミの絵を描いた逸話が伝わっています。これは江戸時代に語られるようになったもので、当時の雪舟の評価の高さを示しています。
京都国立博物館では、「特別展 雪舟伝説―「画聖」の誕生―」展が開催されます(4月13日~5月26日)。
展示の見どころについて、京都国立博物館の福士雄也さんにインタビューしました。
雪舟(1420~1506?)は日本美術史上で最も重要な画家の一人とされています。その評価は、国宝6件という数字で象徴されています。彼が評価される理由は、単に作品の優れていることだけではなく、歴史的な受容と評価の過程が重要な要素となっています。
慶長12年(1607)
両足院蔵 ※通期展示
この基礎を築いたのは、桃山時代の雲谷派と長谷川派、そして江戸時代の狩野派でした。雪舟の画を学ぶだけでなく、長谷川等伯のように「雪舟より五代」と自称する者も現れました。
江戸時代(18世紀)
MIHO MUSEUM蔵 ※通期展示
18世紀に入ると、尾形光琳や伊藤若冲、曾我蕭白をはじめとする多くの画家たちが雪舟を尊敬し、彼の作品から学びながら新しい絵画の世界を開拓してきました。
江戸時代(18世紀)
出光美術館蔵 ※後期展示
本展では、これら近世の雪舟の受容の様子をたどり、なぜ「画聖」と称される雪舟の評価が形成されてきたのかを検証します。
国宝6件を含む雪舟の重要作品や長谷川等伯、探幽、蕭白、若冲などの巨匠たちの作品が多数展示されます。ぜひ会場でゆっくりご鑑賞ください。
【開催要項】
特別展 雪舟伝説―「画聖」の誕生―
会期:2024年4月13日(土)~5月26日(日)
※前期4月13日(土)~5月6日(月・祝)後期5月8日(水)~5月26日(日)
会期中上記以外にも展示替えあり
会場:京都国立博物館 平成知新館
住所:京都府京都市東山区茶屋町527
電話:075・525・2473(テレホンサービス)
展覧会公式サイト:https://sesshu2024.exhn.jp/
開館時間:9時~17時30分(入館は17時まで)
休館日:月曜日(ただし4月29日、5月6日は開館)、5月7日(火)
料金:展覧会公式サイト参照
アクセス:展覧会公式サイト参照
取材・文/池田充枝